オペレーション
operation
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この記事では眼科経営における電話対応について眼科専門コンサルタントの西條がお伝えしています。
患者さんの減少と電話対応、というキーワードをご覧になった時、多くの先生が接遇の話かな、と思われたことだと思います。
確かに接遇も患者数の減少要因ですが、今回お伝えする内容は接遇ではありません。
丁寧な対応をしているクリニックやスタッフさんほどしてしまいがちな、電話での“ある質問”への対応についてお伝えしていきます。
“ある質問”とは「どの程度(どのくらいの時間)待ちますか?」という質問です。
この質問自体は珍しいものでは無く、予約システムを導入していないクリニックであれば1日に何度も聞かれている内容です。
この質問に対してスタッフさんが
などの場合は要注意です。
勿論、待ち時間を短く見積もってお伝えすると実際の待ち時間が長く感じられ、患者さんの満足度を低下させるため、適切な対応ではありません。
しかし、実際の待ち時間より長い時間をお伝えすることにより、待ち時間を理由に受診を回避される可能性が高くなります。
私自身の経験として初めて受診するクリニックに電話でおおよその待ち時間を確認したところ、「今日は混んでいるので1時間は待つと思います。」と案内されました。
しかし、その日を逃すとクライアント医院への出張が続き、当面受診ができそうになかったことと、午前診療に間に合うクリニックがそこしか無かったため、ある程度待つことを覚悟しクリニックに向かいました。
確かに待合室は混雑していたのですが、結果としては受付から案内まで25分程度で、クリニックに到着してから会計終了までおおよそ35分でした。
覚悟していた程待たされず助かった、という反面、電話した時点で他に候補となるクリニックがあれば待ち時間が短いクリニックを受診していただろうな、と感じました。
この記事をご覧になっている院長先生は自院のスタッフは「そのような回答はしていない」「わざわざ長い待ち時間を伝えるはずは無いでしょう」とお考えかもしれません。
しかし、現場でスタッフさんの対応を調査しているとほとんどのクリニックでこのような対応が行われており、丁寧な対応を心がけている方ほどその傾向が強いように見受けられます。
スタッフさんが実際に想定される待ち時間より長い待ち時間を伝えるのは以下のような考えがあるようです。
2つ目の受診抑制についてはレアケースですが、常に忙しいクリニックや、診察時間終了間際で見受けられます。
1つ目のクレームを回避したい、という感情はほぼ全てのスタッフさんが持っており、それ自体は責められるものではありません。
しかし、長めに待ち時間を伝えることで発生する機会損失を許容できるか、と言われるとそうでは無いと考えております。
また、スタッフさんによって案内する時間に差があることも問題の種となります。
どのように案内するか決まっていないクリニックではAさんは余裕を持って長めに待ち時間をお伝えする、Bさんはジャストな待ち時間をお伝えする、というように誰が電話に応答したか、によって案内にブレが発生します。
こうなるとせっかくお伝えしている待ち時間が目安として機能しません。
「電話での待ち時間確認」に対してクリニックができる対応としては、案内する目安時間に対して一律のルールを定めることです。
予約システムを導入されているクリニックであれば順番予約の場合、今番号を取ればどの程度待つか、が表示されていまのでそれを案内し、時間帯予約の場合は空いている時間帯を案内すれば事足ります。
予約システムを導入されていない場合は平均的な診療ペースを測定しておき、「1人あたり所用時間×現在の待ち人数」を案内されると良いでしょう。
こうすることで必要以上に長い待ち時間をお伝えすることが無くなり、スタッフさん毎の案内時間の差も無くなります。
また、案内の際に併せて「あくまでも現時点での目安の待ち時間ですので、実際に受診された際の診察状況によってはご案内の時間が異なる可能性があります。」とお伝えするとクレームもある程度予防できます。
本記事をお読みの先生はスタッフさんそれぞれに「電話で待ち時間を聞かれた場合、どのように回答している?」と確認していただき、ルールが統一されていない場合はご紹介した方法を参考に院内での案内ルールを整備していただければと思います。