時事情報・その他

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時事情報・その他2023.3.30

オンライン資格確認と電子処方箋

本記事はオンライン資格確認と電子処方箋について眼科専業コンサルタントの西條が執筆しています。

電子処方箋の運用が開始されたことを受け、クライアント医院の院長先生から
「電子処方箋は取り組んだ方が良いの?」
「前にあったオンライン資格確認とは別もの?」
「オンライン資格確認を導入しているから自動的に使えるの?」
などの質問を頂戴する機会が増えてきました。

そこで今回は、そもそもオンライン資格確認と電子処方箋とは何か、というところからお伝えし、取組みの是非について、電子処方箋がもたらす近い未来の予測などをまとめたいと思います。

■そもそもオンライン資格確認と電子処方箋とは?

まず、オンライン資格確認と電子処方箋は別ものです。

オンライン資格確認・医療情報化支援基金関係 医療機関向けポータルサイトなどで「電子処方箋の利用にはオンライン資格確認の利用が前提になります。」と記載されていることが混乱を招いた一因と感じております。

資格確認とは

資格確認とは、受診する患者さんの医療保険情報を確認する作業の事を指します。

従来、患者さんが持参した保険証を基に、記号・番号・氏名・生年月日・住所などを確認し、カルテを作成する、という作業を行っていました。こちらは先生方のクリニックで日々行われている作業であり、馴染みがあるものだと思います。

この方法自体に大きな問題があるわけでは無いのですが、例えば受診時点では資格を喪失していてもクリニック側では判別することができず、保険請求をしてから発覚、となります。

オンライン資格確認を行うことで、受診時に資格情報が確認でき、失効保険証の利用による未収金などの問題を未然に防ぐことができるようになりました。

オンライン資格確認は令和5年(2023年)4月から導入げ原則義務化されています。

まだ対応していない、という場合は下記ページをご覧ください。

オンライン資格確認・医療情報化支援基金関係 医療機関向けポータルサイト
義務化/経過措置に関する重要なお知らせ

電子処方箋とは

電子処方箋は従来紙で運用されていた処方箋をオンラインで運用するものです。

オンラインで管理することにより、他の医療機関で処方された薬剤の情報を参照したり、重複する薬剤のチェックができるようになります。

出典:厚生労働省 電子処方箋の概要等

メール等で薬局に処方箋を送信する手間が増えるのでは?と警戒されている先生もいらっしゃいますが、クリニックが個別の薬局へデータを送信することはありません。

電子処方箋管理サービスにアップした処方情報を薬局が個別に確認する流れで運用されます。

イメージとしてはクラウド上にアップしたデータで情報をやり取りする、という形です。

この電子処方箋管理サービスがオンライン資格確認のシステムを基盤としているため、オンライン資格確認の導入が前提となるわけです。

しかし、先にもお伝えした通りそれぞれのシステムは別物であり、今のところ(3月30日執筆時点)オンライン資格確認のみ導入し、電子処方箋は検討する、という対応も可能です。

電子処方箋の導入状況

厚生労働省の資料によると、2023年2月27日時点で電子処方箋を導入している施設は684あり(病院6, 医科診療所38, 歯科診療所8, 薬局632)、薬局を中心に徐々に導入が始まっている、という状況です。

一方で、システムの改修の事前申請をした施設は2月19日時点で全国で40,412あり(病院930, 医科診療所15,580, 歯科診療所8,754, 薬局15,148)、システムベンダの対応が進むことで広く普及すると考えられます。

政府としては2025年3月末を目途に全ての医療機関・薬局への導入を目指しているため、オンライン資格確認同様、原則義務化となることも考えられます。

■電子処方箋がもたらす近い未来の予測

今のところ、当面の間は電子処方箋を交付した場合でも、紙媒体の控えを渡す必要があるのですが、いずれ紙の控えは不要となると考えられます。

紙媒体での控えを発行する必要が無くなると、徐々に普及している「医療費後払いサービス」を併用することで、患者さんは診察が終わった時点で会計処理を待たずに帰宅できるようになります。

あくまでも医療費後払いサービスは民間のサービスであり、導入の是非は各クリニックで検討することとなりますが、会計待ち時間は患者満足度を大きく低下させる要因であるため、紙媒体での処方箋が発行不要となった段階で前向きに検討していただく価値があると言えます。

今回のテーマからは外れますが、医療費後払いサービスは「予約システムと一体型のサービス」「医療費の後払いだけができるサービス」など、サービスによって特徴が異なります。

発展段階のサービスであるため今後、機能の拡張が見込まれることと、患者さん側の利用シェアが高いサービスと契約することで増患効果が期待できることから、ある程度普及する時期を待ってから導入するサービスを決定することも選択肢の一つとなるでしょう。

■電子処方箋は取り組んだ方が良いのか

電子処方箋については補助金があり、令和5年3月31日までに電子処方箋管理サービスを導入した場合と、4月1日以降に導入した場合で補助率が異なっていたため、補助率が高い間に導入をする、と判断された先生がいらっしゃいました。

しかし、システムベンダのひっ迫により導入がズレこんでいることを受け、4月1日以降に導入した場合でも3月31日以前に導入した場合と同じ補助率で補助金が交付されることが検討されています。

いずれにしても政府が2025年3月末を目途に全ての医療機関・薬局への導入を目指しているため、オンライン資格確認同様、導入をしないという選択は無いと考えられますが、補助率が見直されたことを踏まえると今のところ急ぐ必用は無く、眼科の繁忙期である学校健診の時期が過ぎてから導入をする、ということでも良いと思います。

補助金について詳しくはこちらをご覧ください。
電子処方箋管理サービス等関係補助金の申請について

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