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オペレーション2023.9.7

問診は医師が取るべきか

この記事では眼科クリニックにおける問診についてお伝えしています。

■問診は医師が取るべきか

結論から申し上げますと問診を取るのは医師で無くとも良いと思います。
実際に多くの眼科医院では、検査時にスタッフさんが問診を取られていることだと思います。
スタッフさんが問診を取られることは問題無いのですが、その後に問題が発生している医院を時々見かけます。その“問題”とは診察室内で先生が再度、丁寧に問診をしていることです。

診察室内で再度、問診をされている先生にお話を伺うと、
診察をするために問診は必要、医師が直接症状を確認した方が満足度が高くなる、スタッフは聞き漏らしが多い、など様々な意見があります。

勿論、間違っていることは無いのですが、一方で患者さん側から
・何度も症状を伝えなければいけないのは手間に感じる
・事前に伝えた内容が医師に伝わっていないのでは?
などのお声があることも事実です。

ある眼科医院のGoogleの口コミにはこのような記載がありました。

あくまでも一例ですが、何度も問診を取られることに疑問を呈し、時間の短縮についてもコメントされていました。

この書き込みの通り、診療効率の面から考えますと、スタッフさんが事前に問診、その内容に沿って診察開始、とすることで診察室内における問診時間が短縮され、診療効率の改善に繋がります。

問診をスタッフさんが実施、先生は内容の最終確認と優先順位づけ(複数の主訴がある場合、どの疾患が1番気になるかを確認)されているクライアント医院さんでは、患者さん1日後あたりの平均問診時間が11秒となっています。

明確に役割分担をされており、医師のコミュニケーションは他院と比較しても非常に短い体制ですが、患者さんは非常に多く、夏場でも午前中だけで80名をコンスタントに超えてらっしゃいます。患者数が多いことからも満足度が高いことが読み取れると思います。

(問診をしない分、説明時間が長いのか、と言うとそうでも無く、患者1人あたりの説明時間は平均1分程度であり、一般的な眼科クリニックと比較をしても少し短いほどです。)

このように、問診は必ずしも医師が取らなければいけない、というわけでは無く、診察の必要となる情報がきっちりと取得できており、それが医師に伝わっていると患者さんが理解できる体制を構築できれば、医師が問診を取得しなくとも満足度が高く、効率的な診療をすることができます。

■スタッフに問診を任せるためには

スタッフさんに問診を任せられない、とおっしゃる先生はたくさんいらっしゃいますが、任せられない理由を大別すると以下の2つにまとめることができます。
・診察に必要な情報が取得できていない
・取得した情報が記載されていない、読みづらい
これらの課題はスタッフさんを教育することで徐々に改善することができます。

・診察に必要な情報が取得できていない

これは、診断を下すための情報や、処方を決めるための情報が取得できていない、ということです。

例えば、ドライアイの治療において、処方を決めるための情報として
・現時点で他院に通院しているのか
・通院しているのであればどのような点眼をどのような頻度で処方されているのか
・他院への通院が無い場合では、市販薬の使用の有無や頻度
を必要とされる先生は多いと思います。

スタッフさんが取得した問診内容が
「目の乾き感が気になる」だけであれば診察室でこれらの情報を取得する必要がありますが、
「目の乾き感が気になる。2w前に〇〇眼科受診、ジクアスを処方、1日6回の指示だが、実際には日に2,3回しか使用できておらず。症状の改善なし」まで取得できていれば、
ジクアスの点眼頻度を守るように指示をするか、どうしても2,3回しか点眼できないのであればジクアスLXに変更するか、という判断が下せると思います。

さらに「点眼の変更の希望あり」や「涙点プラグ希望で当院を受診」など当院の受診理由まで取得できていると、診察室内での問診は無くとも、患者さんが希望する医療を提供できるでしょう。

このように疾患や主訴に対して、どのような情報を取得して欲しいか、をスタッフさんに教育していくことで、診察に必要となる情報が取得できていない、という状況を改善することができます。

これは初診時だけで無く、慢性疾患の方の再診時も同様です。

緑内障患者さんの診察で「前に出した点眼は何本残っていますか?今回は何本希望されますか?」と確認されている先生は少なくありません。

これらの情報は検査時に確認できる内容ですので、ぜひ事前に情報を吸い上げていただけえればと思います。(処方希望本数のヒアリングについて、医師以外は確認すべきでは無い、とおっしゃるスタッフさんが一部いらっしゃいますが、あくまでも処方希望本数を事前にヒアリングし、患者さんの希望を確認した上で医師が処方本数を決定する、ということをご理解いただければ良いでしょう)

・取得した情報が記載されていない、読みづらい

こちらはカルテの記載方法を教育する必要があります。

小さな点では、カルテの記載には敬語は不要(ご主人→夫、と、おっしゃっています→とのこと)など例を挙げながら根気強く教育しましょう。

カルテの記載でよくある課題が、「何を書いてあるのか読めない」「要点がわかりづらい」というものです。

こちらも記載方法について根気強く教育しましょう。
具体的には
・症状は優先順位が高いものから記載する
・時系列順に記載する
・要点をまとめ、端的に記載する
など先生が読みやすいと感じるように指示を出していただければと思います。

スタッフさんによって、カルテ記載能力がまちまちだと思いますので、先生が読みやすいと感じたカルテをピックアップし、例題のような形でスタッフさんに見てもらうのも良いでしょう。

この際に、読みづらいカルテをピックアップしてしまうと、スタッフさんが萎縮する要因になるのでお勧めできません。どうしても特定のスタッフさんのカルテが読みづらい場合は、他にスタッフさんがいないところで、記載方法の改善について(感情は切り離して)指導されると良いでしょう。

1対1の指導がリスクに感じられる場合は、録音をしておいていただくか、カルテの記載が上手なスタッフさんから指導を受けていただくように指示するのも良いでしょう。

今回は問診についてお伝えしました。
診察に時間がかかっている、問診をしてもらっている割には必要な情報が上がってこない、と感じられている場合は問診体制について是非見直していただければと思います。

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