マネジメント
management
management
医療現場の人手不足が長期化していますが、いまや単に「採用できればよい」という時代ではありません。
採用単価が上昇し続ける現在、長く働いてくれる人材をどう確保するか。
それがクリニック経営における重要なテーマとなっています。
特にクリニックでは、短期離職が課題となっているケースも多いのではないでしょうか。
短期離職が続くと、
・採用コストの増加
・現場スタッフへの負荷の増加
・患者対応の質の低下
という問題に直結するため、採用活動そのものを慎重に見直している先生方も多いかと存じます。
そこで今回は、クリニック経営に共通する課題である人材採用について、
「ハローワーク求人の活用」を軸に、医療機関との相性や考えてみたいと思います。
すでにハローワークに求人を掲載している医院も多い一方で、
「採用につながらなかった」
「とりあえず掲載しているが反応が薄い」
といったご経験をお持ちの先生もいらっしゃるかもしれません。
実際、ハローワークは掲載しただけで応募が集まる媒体ではありません。
そのため、「効果を実感できないまま掲載を続けている」という声も少なくないのが現状です。
しかし、ハローワークでの年間就職決定件数は120.8万人とされており、
現在も国内最大級の採用インフラであることは間違いありません。
(厚生労働省「公共職業安定所(ハローワーク)の主な取組と実績」R7年)
さらに、ハローワーク利用者の特性を踏まえると、クリニックとの親和性は決して低くはないと考えられます。
ハローワークは民間の求人エージェントや求人媒体と比較して、
地域に根ざした求人情報が集まりやすい傾向があります。
全国544拠点が設置されており、
大都市だけでなく地域の雇用を支えるインフラとして広く利用されています。
U・Iターン窓口や「マザーズハローワーク」など、地域雇用に特化した支援体制も整備されています。
国が運営する無料の職業紹介機関であるという公共性の高さもあり、
地域で生活基盤を安定させたい求職者が集まりやすい構造となっています。
そのため、利用者には、
・地元志向が強い
・転居予定が少ない、または希望しない
・安定志向が強い
・ブランクからの復職を希望する といった傾向が見られます。
これらは、地域医療を継続的に支えるクリニックにとって親和性の高い人材像であるともいえるでしょう。
ハローワークは無料で掲載できる一方、同エリア内に多数の求人が並ぶため、
単に求人票を出すだけでは応募に繋がりにくいのが実情です。
そのため、ハローワークはしばしば“採れない媒体”のイメージを持たれてしまうこともありますが、
実際には設計次第で採用成果を大きく変えられる媒体でもあります。
ハローワーク求人で“攻め”の姿勢を打ち出すためには、まず求人が目に留まること。
そして次に、応募を後押しする「納得感」を与えることが重要です。
納得感とは、「自分がこの職場で働く姿を具体的に想像できること」です。
「求人が目に留まる=閲覧数増加」×「納得感を与える=応募動機の形成」
が設計できれば、これまで以上の効果が期待できます。
求人票を作成する際には、もちろん給与や勤務時間などの雇用条件も重要です。
しかし、条件だけが応募の決め手になるとは限りません。
求職者が「ここで働く自分の姿」に納得感を持つためには、
経営者としてのクリニック運営への想いや、目指す医療の方向性を
募集要項の中で言葉として伝えることが重要です。
こうした条件以外の目に見えない情報や想いが共感を生み、結果として応募意欲の形成につながります。
以下では、ハローワークの求人票を作成する際の具体的なアプローチを一部紹介します。
1.閲覧数の増加が期待できる「職種名の活用法」
職種は、求人の「見出し」となる非常に重要な項目です。
多くの求人票では、募集職種欄に「看護師」や「視能訓練士」など、職種名のみが記載されています。
しかし、採用したい職種名だけで掲載してしまうのは、実は非常にもったいない表現といえます。
ご存じない先生が多いのですが、職種欄には最大28文字まで記載することが可能です。
このスペースを活用し、「採用したい職種名+貴院の特徴・実績・職場の雰囲気」などを加えることで、
求職者の目に留まりやすくなり、閲覧数の増加が期待できます。
▼よく書かれる募集職種欄
募集職種:看護師
▼職種名の活用例
募集職種:看護師(眼科医院)|チームワーク重視・残業月5時間未満

単なる職種名が羅列されている中で、文字数が多い事はそれだけでも目立つ要素となり、さらに職種名
に興味を引く内容を記載する事で、閲覧数の向上が期待できるというわけです。
ポイントとしては、働く上での自院の強みを記載することで、
例えば看護師の募集においては“夜勤が無い”という内容も訴求点になります。
「自院は強みが無い」とおっしゃる先生が多いのですが、最近入職されたスタッフさんに、
どこがポイントとなったか聞いてみると案外面白い答えが返ってくるかもしれません。
ハローワークの求人情報が、民間の求人媒体よりも求職者の確認優先順位が落ちやすい要因のひとつに、
「求人票が雇用条件の羅列のみで情報が薄い」という点があげられます。
読む気になって確認した求人情報が、雇用条件の羅列だけのものですと離脱されやすくなります。
例えば、仕事内容を記入する欄に「眼科医院における看護業務全般」のみを記載していた場合、
「処置中心の仕事だろうな」という感想以上の業務イメージが沸きません。
仕事内容は360文字(12行×横最大30文字)まで記載が可能なため、業務内容のほか、
就業を通して得られるスキルや、貴院の特徴を記入するとよいでしょう。
例:
日常生活に欠かせない“見え方“を守る仕事です。
定期的に通院される患者様が多く、症状の改善を間近に実感できる
ことも眼科医院ならではの特徴。あなたの声掛けや工夫で患者様に
安心感を与え、強い信頼関係にもつながります。
【主な業務内容】視力や眼圧検査のサポート、診察介助、点眼や軟
膏の処置、正しい点眼方法の指導、手術時の補助やケアなど。
■当院のスタイル
外来患者様の診察前問診、診察後のアフターカウンセリング、
治療結果の説明補助などを看護師が担当します。
医師が治療に専念できる体制のもと、看護師は患者様の不安
軽減や理解促進を担い、安心して通院いただける環境づくり
を行っています。治療とケアをチームで支える診療体制です。
現役の看護師を採用ターゲットとする場合は、
個別の業務を細かく説明するよりも、特徴を中心に紹介する方法も有効です。
また医院独自の体制と考え方を紹介することで、前職で疑問や違和感を抱き退職に至った方には
「医院の考え」が採用前に明示されていることは、組織の透明性も高く映るでしょう。
他にも成長意識の高い方を採用したい場合など、育成体制としてクリニック独自のカリキュラムと実績など、
外から見えづらい情報と、採用したい人材像が興味を持ちそうな内容を記載すると、
より就業後のイメージが形成されやすくなります。
また、画像の登録もできるため、院内の様子や環境など、複数枚写真を登録することも効果的です。
本コラムでは、クリニック採用におけるハローワーク活用について解説しました。
ハローワークはお伝えしたように「応募が集まらない媒体」ではなく、設計次第で採用成果を大きく変えられる媒体です。
採用成果の差は、「閲覧数」×「応募動機の形成」の差です。
短期離職を防ぎ、医院を成長させるためにも、求職者が「ここで働く自分」を具体的に
想像できる求人設計を行い、採用と定着の両立を目指していただければと思います。
もし現在掲載している求人票がある場合は、
一度「自院の魅力や想いが十分に伝わっているか」という視点で見直してみてはいかがでしょうか。
わずかな表現の違いが、応募者との出会いを大きく変えるきっかけになることもあります。