時事情報・その他

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時事情報・その他2026.4.30

ベースアップ評価料(I・Ⅱ・入院)の概要と算定要件、クリニックで対応することを解説

ベースアップ評価料について、制度の概要から医院での対応が必要な事項について解説をします。

令和8年度診療報酬改定における外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)の改定概要については

ベースアップ評価料の届出は必要?令和8年度の改定内容と判断ポイント」にて解説しています。

併せてご確認ください。

 

ベースアップ評価料とは

令和6年度の診療報酬改定で導入された、医療機関で働く職員の賃上げ(前年度を上回る水準)を目的とした制度です。

届出を行うことで、賃上げの原資となる点数が算定できます。

算定した点数は、保険医療機関等に勤務する職員の人材確保や賃上げのためのみに充てることとされており、
クリニックの利益や他の経営資金に充てることはできません。

なお、対象となるスタッフは医療機関で働くすべての職員です。経営者、法人役員、40歳以上の医師は対象外とされています。

ベースアップ評価料には、以下の3つに分かれています。


それぞれの概要について簡単に説明します。


外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)とは

外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)とは、届出を行い、賃上げを実施する医療機関において、初診料・再診料等と併せて算定できる評価料です。

本評価料は、令和6年度診療報酬改定において新設され、令和8年度診療報酬改定(6月施行)では、
ベースアップ評価料の対象となる職員の拡大と、算定点数の引き上げが行われます。

出典:令和8年度診療報酬改定の概要(医科全体版)

令和8年度の診療報酬改定での詳細については「ベースアップ評価料の届出は必要?令和8年度の改定内容と判断ポイント」を併せてご確認ください。

 

外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)とは ※R8年6月改定内容を反映

外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)の届出・算定している医療機関において、(Ⅰ)の見込み算定額が適切な賃上げ額の1/2に満たない場合に算定される点数です。
※適切な賃上げとは?:賃金改善算定基礎額(詳細は後述)

一律で算定点数が決まっている(Ⅰ)とは異なり、医院によって算定点数が異なります。

在籍するスタッフの月給総額から算出する「賃金改善算定基礎額」と、初診料や再診料等の算定回数に基づき、
1回あたりの評価額が算出され、その水準に応じて点数の区分が決定されます。

区分は令和8年度6月時点では1区分から最大12区分まであり、賃上げの実績に応じ算定点数が異なります。

  • 令和8年6月から賃上げを行う医院の場合:区分1の算定点数は初診料等8点、再診時等1点。
  • 継続して賃上げを行っている医院の場合:区分1の算定点数は初診料等が16点、再診時等は2点が算定できます。

なお、令和9年度6月以降は区分が24区分まで拡大します。

 

出典:令和8年度診療報酬改定の概要(医科全体版)

「賃金改善算定基礎額」とは賃上げに必要な原資を算出するための基礎となる額であり、職員の給与水準やベースアップ率等をもとに計算されます。

令和8年度6月からの届出での賃金改善算定基礎額は、スタッフの月給にベースアップ目標(3.2%もしくは5.7%)に、1.29をかけて算出します。
1.29は、事業者が負担する社会保険料など法定福利費や、賞与のベースアップに連動して増加する分等を見込んだ係数です。

 

出典:令和8年度診療報酬改定の概要(医科全体版)

 

令和9年度6月からはベースアップ率が引き上げられるため、
看護師・視能訓練士等は3.2% →6.4%、受付・事務職員等は5.7%→11.4%となります。


出典:令和8年度診療報酬改定の概要(医科全体版)

なお、様式96では外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)が算定可能かどうか、および算定する場合の区分は、入力内容に基づき自動計算されます。
様式をダウンロードし、項目に沿って必要な情報を入力すると簡単に確認することができます。

必要な情報は以下の4つです。

  • 対象職員の数(常勤換算数)
  • 看護師や視能訓練士等の職員の1か月あたりの給与総額
  • 受付や事務に従事する職員の1か月あたりの給与総額
  • 初診・再診等(訪問診療料等を含む)の算定回数 

また、ベースアップ評価料(Ⅱ)の算定には原則として以下の2つの条件を満たしていることが必要です。

 

1,対象となる職員の数が常勤換算で2名以上在籍していること。
  ※ただし、常勤換算数が2名未満であっても対象となる地域があります。対象地域については「基本診療料の施設基準等」別表第六の二で確認できます。

2,全体の収入のうち、自由診療等の収入の比率が20%以下であること。

なお、自費診療を中心に行っている医療機関では、件数ではなく収入割合に基づいて判断されます。

  

入院ベースアップ評価料とは

入院ベースアップ評価料は、名前の通り有床診療所や病院を対象とした加算で、
外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)の届出を行った病院または有床診療所が、入院基本料等と合わせて算定できるものです。

外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)と同様、届け出には「賃金改善算定基礎額」の算出が必要です。
入院ベースアップ評価料の算定可否および届出区分は、様式97にて確認ができます。
外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)と同様、様式をダウンロードし必要事項を入力すると簡単に判定が可能です。


確認にあたり必要な情報は以下の5つです。

  • 対象職員の数(常勤換算数)
  • 1カ月当たりの延べ入院患者数
  • クリニックに勤務する職員(医師・看護補助・受付を除く)職員の1か月あたりの給与総額
  • 受付や事務に従事する職員の1か月あたりの給与総額
  • 初診・再診等(訪問診療料等を含む)の算定回数

「入院ベースアップ評価料」と「外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)」はともに、外来・在宅外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)の届出と算定を行っていることが必要です。

 

ベースアップ評価料の算定点数の用途

従業員の基本給水準を一律で引き上げることが、いわゆるベースアップ(ベア)の原則です。

本コストにおいて算定した点数は、対象職員の基本給等、毎月決まって支払われる給与の引上げと、それに連動して増加するもの(賞与や残業代、法定福利費)に充てることが必要となります。

出典:令和8年度診療報酬改定の概要(医科全体版)

なお、疑義解釈において職員ごとに配分額に差を設けることも記載されており、一律同額の支給でも良いと解釈されています。

ただし、その場合でもスタッフの憶測や不平不満を生まない配慮をされることが望ましいでしょう。扶養の範囲内での勤務を行っている職員など、クリニックの判断によりバランスを考慮した配分をご検討ください。

 

ベースアップ評価料を算定している医療機関が行うこと

1,届出の提出  ※算定を行うすべてのクリニックが対象(令和8年6月以降の算定に伴う対応)

新規で届出を行うクリニックに加え、継続してベースアップを行うクリニックについても、改めて届出が必要となります。

特に、継続して賃上げを行うクリニックは、令和8年5月中に届出を行う必要があります。2026年5月7日(木)から6月1日(月)(必着)までに、地方厚生局(都道府県事務所)へ、該当する様式に必要事項を記入のうえ提出してください。

なお、クリニックによって対象となるベースアップ評価料の種類が異なるため、必要な様式については、厚生労働省のホームページに掲載されている早見表で確認できます。

 

2,賃上げ状況の報告

ベースアップ評価料を算定する医療機関が実施すべき事項は、以下の2種類の報告書の作成および提出です。

・「賃金改善中間報告書」による賃上げ状況の報告
・「賃金改善実績報告書」による前年度の賃上げ結果の報告

これら2つの報告書は、いずれも8月に地方厚生局へ電子メールで提出する必要があります。

また複数の医院を経営する医療機関では、令和8年度診療報酬改定にて「同一法人内の複数医療機関を通算した報告書の作成」が可能となりました。

以下引用:

同一の給与体系に基づく保険医療機関を複数有している法人においては、法人内の複数保険医療機関を通算して、実績報告時に提出する「賃金改善実績報告書」及び「賃金改善中間報告書」の作成が可能とする

(出典:令和8年度診療報酬改定の概要(医科全体版))

 

この改定により、今年8月に実施する前年度(令和7年度)の実績を報告から、

1つの書式で複数医院の賃上げ結果および状況を通算して報告することが可能となります。

 

3,ベースアップ評価料の加算に関する院内掲示、ホームページへの掲示

ベースアップ評価料の算定については、院内掲示とホームページへの掲載が望ましいとされています。
(ホームページを有していない医院は対象外です)

令和6年のベースアップ評価料新設時には、厚生労働省のホームページにて院内掲示用のポスターが作成されています。
※現在はダウンロードページは削除されています。

 出典:医療機関用リーフレット(医科)

 

直近でベースアップ評価料の算定を開始した場合は、医院のオリジナル版を作成することも有効的です。

医院で算定を開始した月を明記するとともに、算定した点数は全額を職員の賃上げに充てる旨を記載しておくことで、
従来は当該加算がなかったことに関する患者からの問い合わせ対応の負担軽減が期待されます。

例)

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