マネジメント

management

マネジメント2022.8.16

最低賃金の引き上げとクリニックの時給

この記事は眼科経営をサポートする眼科専業コンサルタントが眼科医院の院長向けに記載した最低賃金と時給設定についての記事です。

■最低賃金の引き上げと影響

2022年8月1日に中央最低賃金審議会が2022年度の最低賃金の目安を全国平均で961円にすると決めました。前年度から31円の引き上げとなり過去最大の上げ幅となりました。

各都道府県毎の実際の引き上げ額と最低賃金はまだ発表されていませんが、長らくスタッフさんの給与の見直しを実施していないクリニックは早めに見直されることをお勧めします。なお、発効は10月頭となりますのでそれまでには見直しを済ませておきましょう。

眼科クリニックの場合、看護師や視能訓練士は相応の給与を支払っているため最低賃金の引き上げに敏感になることはありませんが、事務スタッフは給与水準が高く無いため注意が必要です。時給で働くパートスタッフが最低賃金を下回ることはほとんどありませんが、長らく給与の見直しを行っていないクリニックの場合月給で働く常勤スタッフは特に注意が必要です。

■最低賃金と月給

月給制の場合

月給÷1箇月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)

となっている必要がありますが、数年間月給を見直していない場合最低賃金の引き上げに伴って最低賃金を下回っていることがあります。

1箇月平均所定労働時間とは

月平均所定労働時間=(365日-1年の休日合計日数)×1日の所定労働時間÷12ヵ月

例えば日曜、祝日と土曜午後、金曜午後を休みにしているクリニックで年間休日が120日ある場合は、平均所定労働時間:(365―120)×8÷12=163.3時間となります。

月給(基本給+役職手当など毎月固定で支払われる手当)÷163.3が最低賃金と同じかそれを上回っていると問題はありません。

基本給 15万円、役職手当 1万円の場合、
(150,000+10,000)÷163.3=979円となります。

これが都道府県の最低賃金を下回っていなければ問題ありません。

ただし、最低賃金は国が保証する最低限の賃金ですのでこれを上回っていても近隣の競合クリニックや類似業種の募集時給の方が高ければ応募が集まりません。
求人を出しても応募が無いクリニックの場合給与水準を見直されることをお勧めします。

■募集時給の相場

募集時給を決める際は

  • 近隣競合クリニックの時給
  • 類似業種の時給

を確認し自院の条件と比較しながら決定すると良いでしょう。

近隣にある競合クリニックの募集条件はWEB上の求人広告やハローワークの求人情報で比較的容易に確認できます。

パート採用や中途採用では求職者が募集要項の内容を重視して応募先を決定しているため、近隣クリニックと比較して魅力的に映る求人内容を設定し応募数の増加を狙いましょう。

求人内容は給与や労働時間などトータルでの判断となりますので単純に時給を上げなければいけないということでは無く、
「ある程度シフトが自由に決められる、時間外労働が少ない、など労働環境が良い場合は同等の給与水準」
「患者数が多く業務負担が大きい場合や残業が発生しやすいクリニックでは近隣より高い給与水準」
という様に労働環境トータルで魅力的に映るように設定すると良いでしょう。
時給を見直す場合は近隣業種だけでは無く、類似業種の時給水準も確認が必要です。

クリニックの類似業種としては一般事務や受付など事務系職種が挙げられます。
それらの相場を見ますと医療系職種との給与相場の差が見て取れます。

リクルート発表 時給相場資料より

一般事務や受付は9時~17時の勤務体系が多く、クリニックに比べると拘束時間が短いことがほとんどです。そのため、競合クリニックの給与水準だけを見ていると周りより高いのに応募がほとんど集まらない、という状況に陥ることがあります。

勿論、給与以外の条件で応募が集まらない可能性もありますが、応募が集まらない場合は一度近隣業種の募集時給も確認してみると良いでしょう。

■最後に

今回は最低賃金の引き上げに伴い時給の見直しについてお伝えしました。

最低賃金を上回るように設定することはもちろん、求人を出す際は競合クリニックや類似業種の時給相場を確認し求職者に魅力的に映る条件を設定していただくと良いでしょう。

募集時給の引き上げに伴い既存のスタッフさんの給与の引き上げも必要となりますが、最低賃金を下回っていない限り上げなければいけない、という決まりはありません。

しかし、既存スタッフさんの時給より新人スタッフの方が高いという状況はモチベーションを損なってしまいますので、全員の給与を一律上げるのでは無く個別に検討していただくと良いでしょう。

お問い合わせ
無料経営相談
無料メルマガ登録